薬理・毒性学ii p3251 12回目...

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薬理・毒性学 II P3251 12回目︓不眠症・睡眠障害治療薬 担当︓神経薬理学分野 資料︓ k-net.org/ncu/list.html 2019/12/11

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Page 1: 薬理・毒性学II P3251 12回目 不眠症・睡眠障害治療薬k-net.org/ncu/yakuri2-20191204HO.pdf脳波基礎律動→ 周波数 β~14>13~α~8>7~Θ~4>δ~3 覚醒 β速波、閉眼時はα波

薬理・毒性学 II P3251

12回目︓不眠症・睡眠障害治療薬

担当︓神経薬理学分野

資料︓ k-net.org/ncu/list.html2019/12/11

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0.睡眠の謎

1.意識と密接に関連→覚醒も睡眠も「有無」ではなく、種々の段階的状態

2.睡眠覚醒の中枢性制御は、良くわかっている→脳幹部で、種々の覚醒・睡眠物質が機能する→なぜ一定の睡眠時間が必要なのか、わからない

3.さまざまな周期のリズムが存在→特に24時間周期の概日周期との関係

4.全体の機能だが、局所制御がある(らしい)→局所制御の仕組みが、生理的意義の基盤か︖

5.睡眠研究の歴史は、夢の研究とも重なる→夢は心を考える材料、文系の研究対象にも

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「睡眠」で学んで欲しいポイント

1. 睡眠段階(現象としての睡眠)

2. 睡眠制御機構(脳の回路)

3. 睡眠の量的調節機構

4. 睡眠の生理的意義

5. 睡眠障害(睡眠の病気)

6. 睡眠障害治療薬(睡眠薬)←国試はここ

7. 睡眠薬の副作用 ←国試はここ

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4

眠りには、波がある

ZZZ..

覚醒レム睡眠

ノンレム睡眠3

21

1 2 3 4 5 6 7 8

睡眠(時間)60-120 min

なお 90分の倍数が起き易いは「都市伝説」

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1秒

50μV

覚醒状態

浅い睡眠(紡錘波)

深い睡眠(徐波)

1.睡眠段階(現象としての睡眠)

5

脳波などで分類=レム睡眠とノンレム睡眠30秒単位で分類 Rechtschaffen & Kales, 1968

脳波基礎律動→ 周波数 β~14>13~α~8>7~Θ~4>δ~3覚醒︓ β速波、閉眼時はα波ノンレム睡眠段階1: α波徐波化と、Θ波出現段階2: 睡眠紡錘波(スピンドル)、

K複合体段階3: δ波(3Hz以下)が 20%以上段階4: δ波が、50% 以上

レム睡眠︓覚醒に近い、鋸歯状波、速波、急速眼球運動

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脳を休めるノンレム睡眠• レムではない睡眠(変な言葉です)• 脳波は、だんだん遅くなり、デルタ波に

6

起きている時の脳波

眠っている時の脳波

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夢を見る、不思議なレム睡眠脳は、覚醒時のように、活発に活動する

鮮やかな夢を、よく見ている眼球(PSG検査の眼筋電図)が、ぎょろぎょろ動く

(まぶたは、閉じている)筋緊張(PSG検査の筋電図)が、完全に落ちる

脳の出口(橋)の遮断機が、運動出力を止める脳波では、PGO 波の生成が、特徴的︓

→ 橋 (PRF)のアセチルコリン系がブロック

7

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8

レム睡眠に伴う異常脳が覚醒、筋肉が弛緩→覚醒で身体が動かない→金縛り(睡眠麻痺)→はっきりした夢→悪夢・幻覚

遮断機が壊れると、→異常な寝ボケ→ レム睡眠行動障害 .

RBD (REM sleep behavior disorder)

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大脳皮質=眠る脳

脳幹=眠らせる脳=眠らない脳

起こす眠らせる

脳幹からの覚醒シグナルが大脳皮質を「起こす」

覚醒中枢

睡眠中枢

レム睡眠時の遮断機(橋)

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覚醒中枢

睡眠中枢

単純な理解

睡眠中枢はGABAGABA受容体を活性化する=睡眠薬・精神安定薬=ベンゾジアゼピン、非ベンゾジアゼピン、バルビツレート、麻酔など

覚醒中枢はモノアミンモノアミン系を活性化する=精神刺激薬、覚醒剤、抗うつ薬=メチルフェニデート、SSRI等

モノアミン系を抑制する=睡眠薬・精神安定剤=抗ヒスタミン薬=抗精神病薬(抗D2受容体)その他︓メラトニン、オレキシンなど

既出

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CD

A BH

E

G

睡眠と覚醒の伝達物質

A. 視床下部視索前野 (POA: preoptic area) 睡眠中枢(GABA, ガラニン)B. 視床下部視索結節乳頭核 (TMN, Tubulomamilary nucreus)覚醒(ヒスタミン)C. 中脳腹側被蓋野(VTA, venrtral tectam area) 覚醒(ドーパミン)D. 延髄青斑核(LC, Locus ceruleus) 覚醒(ノルアドレナリン)E. 中脳縫線核(RN, raphe nucleus) 覚醒(セロトニン)F. 橋網様体=中脳背外側被蓋核・脚橋被蓋核(PRF, LDT, Lateral dorsal tectam, PPT,

pedunculopontine tegmental nucleus) 覚醒・レム(アセチルコリン)G. 視床下部外側部(Lateral hypothalamus) 覚醒(オレキシン)H. 視床下部視交叉上核(SCN, suprachiasmatic nucleus) 概日周期(AVP, VIP, GABA)

AH

モノアミン系︓ヒスタミン、ドーパミンノルアド、セロトニン

F

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2. 睡眠制御機構(脳の回路)• 「意識」は大脳皮質の機能• 大脳皮質の活動性を、脳幹部の間脳視床・視床下部、さらに中脳・橋・延髄からの入力が制御

• 下位からの入力は、基本的に「覚醒系」• 上行性網様体賦活系と呼ばれる• この「覚醒系」を抑制するのが「睡眠系」• 覚醒系は、モノアミンや、オレキシン• 睡眠系は、GABAが主に使われる

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睡眠研究の歴史 1BC2600 ギルガメッシュ不眠症(喪失体験後)平安時代「病草紙」: 不眠症の記載(肥満も)17世紀 ナルコレプシーの記載18世紀 ディケンズ: ピックウィック病

(睡眠時無呼吸症候群)

1909 石森国臣(名大): 睡眠物質を発見1913 Legendre/Pieron: 睡眠毒素を発見1917 von Economo: 嗜眠性脳炎の研究1940 Hess(49 NP): 睡眠中枢発見(電気刺激睡眠誘導)1949 Moruzzi, Magoun:上行性網様体賦活系

→覚醒中枢と覚醒物質

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睡眠研究の歴史 21953 Aserinsky, Kleitman: REM睡眠発見

←1924 Hans Berger: 脳波計開発1958-60 Dement, Jouvet, 島薗: REM睡眠の解析1976 Guilleminault: 睡眠時無呼吸症候群1982 Borbély: 二過程モデル→概日周期との関係1986 Schenck, Mahowald: レム睡眠行動障害 RBD1997 Joe Takahashi: ヒトの時計遺伝子1999 柳沢正史, Mignot: Narcolepsy/Orexinの解明2000 Hendricks, Shaw: ハエの睡眠の記載

→新規動物モデル: 魚、昆虫など2004 G. Tononi: 局所睡眠の発見

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3. 睡眠の量的調節機構眠気を決める二大要素1.恒常性制御1日あたりの睡眠量を一定にする

2.概日周期性制御1日の中での時刻を一定にする

眠気を打ち消す情動機構︓心理・精神要因

その他の要素︓栄養状態(空腹)、環境要因(温度明るさ音)等

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1.恒常性維持機構睡眠量の維持

2.概日周期機構睡眠相の位相

睡眠=眠気の制御︓睡眠負債と概日周期

3.情動機構覚醒閾値の制御

睡眠制御

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睡眠負債の眠気(S)

覚醒 覚醒睡眠 睡眠

二過程モデル Two Process Model (Borbely, 1982)

17

実際の眠気

昼 夜 昼 夜夜

体内時計の覚醒信号(C)

体内時計の力で、日中は、それほど眠くならない。

眠る前後に、眠気が最大になる。

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脳の疲れによる眠気の強さ

普段の眠気普段の7時起床

2時間の午睡

眠気が強い

眠気が弱い

7 12 19 1 7

脳の疲れによる眠気

18

95 16 23 3

早起き 寝坊 普段の就寝時間

眠ると減る

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目を覚ます強さ

強いほど、眠気を弱める

7 12 19 1 7

体内時計による目を覚ます作用

19

95 16 23 3

普段の就寝時間

日中強く、夜間に弱い

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覚醒 覚醒覚醒 睡眠

昼 夜 昼 夜夜

徹夜明けに、すっきりする理由

20

体内時計の覚醒信号(C)

残存する睡眠不足

眠らないため、夜は、どんどん眠気が増す

体内時計が朝になると、少し、目が覚める

実際の眠気

睡眠負債眠気(S)

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覚醒 覚醒睡眠 睡眠

昼 夜 昼 夜夜

体内時計の覚醒信号(C)

21

体内時計のずれ = 時差ぼけ

時差で体内時計がずれる

夜の眠気が弱く、深く眠れない

昼の眠気がひどくなる 早朝に目が覚めてしまう

睡眠負債眠気(S)

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眠気

午前 午後 夜 午前深夜

7 13 19 1 7

午後の眠気の山夜の眠気の谷=睡眠禁止帯(フォービッドン・ゾーン)

深夜

実際の眠気の日内変動(Two Process Model の限界)

22

24 時間周期の体内時計だけでは、説明できない、山と谷がある →12 時間周期?

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C D

A BH

E

G

眠る脳(大脳皮質)

眠らせる脳(脳幹)

眠る脳の側にも、制御があるらしい

23

F

局所制御は、ほとんど未知

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使った部分が、局所的に良く眠る

24

Huber et al. Nature 430, 78 (2004)

脳の右側ばかりを使う運動をする

右側が早く深く眠る︕

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25

イルカの半球睡眠

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慢性睡眠不足

26

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4. 睡眠の生理的意義(睡眠の生理)眠らせないと・・・動物は、死んでしまう︕動物の場合の死因は、代謝失調・免疫異常

睡眠不足は、眠気を強める→注意力が下がる 記憶力が悪くなる→仕事の効率が下がる 事故が多くなる

ホルモンのバランスが崩れる→ 食欲が上がる 血圧が上がる→ 筋肉が減り、脂肪が増える

27

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(Stickgold et al. Nat.Neurosci., 2000)

初日に1日だけ練習

Visual texture discrimination task (procedural skill)

練習後の睡眠が、記憶を増強

28

学習当日に断眠

断眠で阻害︕

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睡眠不足で切れやすくなる

29

扁桃体の活性が強まる

Yoo et al. Current Biology 17, R77 (2007)

眠った時 断眠した時

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大脳皮質(前頭葉)と海馬でのリプレイ→睡眠中、海馬 5-10倍、大脳皮質2-5倍の

スピードで、情報が再生される(早送り)

30

大脳皮質 海馬

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断眠によるホルモンへの影響

31

断眠

コルチゾール↑ インスリン↑ レプチン↓

異化作用↑ 脂肪貯蔵↑ 糖代謝変化 食欲↑↑

筋肉増強↓

筋肉減少脂肪蓄積

?

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5. 睡眠障害(睡眠の病気)睡眠障害国際分類(ICSD)の改定ごとに大変動︕1990年 ICSD1 2005年 ICSD22014年 ICSD3

→疾病という概念にあてはまらないものも多い(症候群と疾病の違い)

→分類を覚える必要はないが、分けた方が覚えやすい

International Classification of Sleep Disorders

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睡眠障害の大雑把な分類• 眠れない病気

不眠症(入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒,熟眠困難) → 睡眠薬 各種

むずむず脚症候群(RLS) → 新薬• 眠気のひどい病気

過眠症・ナルコレプシー→ 精神(中枢)刺激薬

• 睡眠中に起きる異常の病気・その他睡眠時無呼吸症候群、寝ぼけ各種睡眠覚醒リズム障害 各種

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睡眠障害各論(頻度の多い疾患)1.不眠症(原発性、精神生理性不眠症)5人に1人

2.睡眠時無呼吸症候群(過眠症状を伴うので過眠症にも分類される)より広い分類として「睡眠呼吸障害」男性2~5(~10)%、女性0.5~2%治療は、「物理的」(マウスピース、持続陽圧呼吸法、手術など)

3.睡眠覚醒相後退障害=ひどい夜型→固定してしまうと簡単に治らないので疾病扱い行動誘発性睡眠不足症候群=睡眠不足、BIISS=

Behaviorally Induced Insufficient Sleep Synd.

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4.むずむず脚症候群=下肢静止不能症候群RLS =Restless Legs Syndrome レストレスレッグズ症候群

5. 中枢性過眠症︓ナルコレプシー=日本人の500~1000人に1人、白人は10分の1以下、オレキシン神経の選択的脱落・自己免疫機序︖(特定のHLAが陽性)それ以外の過眠症=特発性過眠症と呼ぶ

6. 睡眠遊行症=夢遊病、子ども、ノンレム睡眠からの、覚醒障害、10%以上に出現→異常といえない

7.睡眠関連食行動障害 SRED =sleep related eating disorder (食べた記憶がない)夜間摂食症候群 NES =night eating syndrome(記憶あり)どちらも女性に多い、ノンレム睡眠

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8. レム睡眠行動障害=RBD =REM sleep Behavior Disorder高齢者、レム睡眠、異常な寝ぼけ 治療が必要、他の疾患(レビー小体型認知症、パーキンソン病)の随伴・前駆症状のことも

9. 内分泌疾患︓甲状腺機能亢進症による不眠、同低下症による過眠が重要、ステロイドホルモンも、睡眠に強い影響。月経周期性の過眠症状も多い。

10. 頻度は少ないが特徴的な病気非24時間型睡眠覚醒障害、クライン・レビン症候群(周期的過眠症)

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むずむず脚症候群(下肢静止不能症候群)

最近、特に注目されている(新薬が、続々)原因不明→A11のドーパミン作用不足ドーパミン受容体アゴニスト= 特にD3受容体に高い親和性を持つものが有効とされる

プラミペキソール(ビ・シフロールTM)ロチゴチン(ニュープロパッチTM)クロナゼパム︓ベンゾジアゼピン系抗てんかん薬ガバペンチンエナカルビル(レグナイトTM)ガバペンチン(リリカTM)のプロドラッグGABA誘導体、Caチャネルα2δリガンド、

→鎮痛剤として開発

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背側縫線核(セロトニン神経)

視床下部背側後側核 A11

(ドーパミン神経)

Clemens, S., Rye, D., & Hochman, S. (2006) Neurology 67, 125–30

脊髄反射反射弓

脊髄上行路 脊髄下行路

むずむず脚症候群の成因

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概日周期睡眠障害• 簡易的には、睡眠日誌で判断

→記憶があいまい→主観的に良くつけたり、悪くつけたり時には、故意に改変される

• 客観的には、睡眠記録型で記録

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23 7 1515

MonTue

ThuWed

SatFri

SunMonTue

ThuWed

SatFri

Sun

睡眠覚醒相後退障害(昼夜逆転型)

40

睡眠禁止帯

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非24時間型 睡眠覚醒障害

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6. 睡眠障害治療薬• 治療薬(国家試験)のポイント• 不眠症治療薬=睡眠薬・催眠薬

ベンゾジアゼピン(Bz)系非ベンゾジアゼピン系メラトニン、オレキシン

• 過眠症治療薬=中枢刺激薬• その他の睡眠障害治療薬

むずむず脚症候群治療薬

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睡眠・覚醒を調節する薬1• 麻酔薬系︖• 睡眠調節系GABA系を強める→ベンゾジアゼピン系

実は、非BZも同じ• 覚醒系モノアミンを弱める→抗ヒスタミン剤モノアミンを強める→覚醒剤(次回)オレキシンを弱める→新タイプの睡眠薬

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睡眠・覚醒を調節する薬2• 新タイプの睡眠薬メラトニン系に作用→ラメルテオン体内時計を調節する作用もある

オレキシン受容体アゴニスト︓スボレキサント2016年発売 → 現在、睡眠薬として売り上げトップ︕

アデノシン系は睡眠誘導→アデノシン受容体拮抗薬=カフェインは覚醒作用

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睡眠薬の歴史 1• バルビタール類が最初に使用された

• 麻酔薬の仲間で、作用点はいろいろ• 効果が高いが安全域が狭い→すぐ呼吸停止• 耐性が生じやすい→すぐ高容量化する• その結果、副作用が頻発した

• サリドマイド• 安全な薬として販売。つわり止めとして使用• 1958年1月発売→催奇形性 1962年9月出荷停止• (西ドイツでの警告 1961年11月)• 全世界で被害者約3,900人(総数5,800人30%死産)• 催奇形性で退場→最近、抗癌剤として復活

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睡眠薬の歴史 2• 今の睡眠薬は全てベンゾジアゼピンから

• GABAA受容体に働き、神経を過分極• 安全域が広い(自殺に使えない)• GABAA受容体は長くBZ受容体と呼ばれていた• 初期の誘導体は半減期が長く、切れが悪い• トリアゾラムの開発が世界を変えた︕• BZ骨格を持たない薬(非BZ系、Z薬)の開発→GABAA受容体のサブタイプ(ω1,ω2)に特異性高い薬の開発→とはいえ、作用点は、BZ受容体である点に注意• ポイントは、薬理作用、半減期、構造、副作用• 構造は、ベンゾジアゼピン系、チエノジアゼピン系、非ジアゼピン系を区別できること。

• Z 薬の名前は、覚えなさい(4種類)

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GABA受容体作動薬(BZ、非BZ)

超短時間作用型(半減期2~4時間)トリアゾラム(ハルシオンTM)ゾピクロン(アモバンTM、シクロピロロン系、ラセミ混合物)ゾルピデム(マイスリーTM 、シクロピロロン系)エスゾピクロン(ルネスタTM 、光学異性体)ザレプロン(ソナタTM、ピラゾロピリミジン系、日本未発売)

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睡眠薬の構造式• バルビツレート、ベンゾ-ジアゼピン骨格は覚えること(p125, p133)

• その他、有名なもの︓Z薬など

• γ-アミノ酪酸 4-aminobutanoic acidNH2-CH2-CH2-CH2-COOH

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カルボン酸・短鎖脂肪酸• HCOOH ギ酸• CH3COOH 酢酸• C2H5COOH プロピオン酸• C3H7COOH 酪酸(ブタン酸)• C4H9COOH 吉草酸• C5H11COOH カプロン酸• Cが16個︓パルミチン酸• Cが18個︓ステアリン酸、オレイン、リノール• Cが20個︓エイコサン酸、アラキドン酸• Cが22個︓ドコサン酸、ドコサペンタエン酸

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GABAA/Bz受容体の構造• 第2膜貫通部位を中心に向け5量体形成• α1-6 β1-3 γ1-3 δ ε θ π ρ1-3 (19種類<)• BzR-ω1(α1β1γ2,high aff.,大脳皮質/脳幹/小脳),ω2(α2,3,5を含みlow/辺縁系脊髄)

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19の5乗=247万種︖

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結合サイトがいろいろ

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GABAA受容体作動薬

• 一部の麻酔薬、アルコール、バルビツレート類、Bz系、非Bz系など多数

• 受容体への結合部位• 機能の違い

→開口時間延長と、開口確率増加• 拮抗薬の存在=ベンゾジアゼピン拮抗薬• フルマゼニル(アネキセートTM)

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作用機序の違い

• BzとGABA, バルビツレートの違い• GABAに対する用量反応曲線(Dose-Response

Curve)が異なる• Bzは、有効濃度を低くする

→最大効果は変わらない→BZをいくら飲んでも基本は死なない

• バルビツレートは、最大効力を高める→GABA作用が高まり呼吸が止まる

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用量反応曲線

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97回国試問題http://square.umin.ac.jp/Licence-Exam/No97-Exam/

Bz

Barbiturate

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GABA 受容体に対する作用の違い

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GABA 単一チャンネルに対する作用

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GABA︓少ない

GABA︓中

GABA︓多い

バルビツレートBZ

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作用時間 商品名 一般名 半減期[時間]

臨床用量[mg]

超短時間作用型

ハルシオン トリアゾラム 2~4 0.125~0.5アモバン* ゾピクロン 4 7.5~10マイスリー* ゾルピデム 2 5~10ルネスタ* エスゾピクロン 4 1~3

短時間作用型

デパス エチゾラム 6 1~3レンドルミン ブロチゾラム 7 0.25~0.5リスミー リルマザホン 10 1~2エバミール・ロラメット ロルメタゼパム 10 1~2

中間作用型

エミリン ニメタゼパム 21 3~5ロヒプノール・サイレース フルニトラゼパム 24 0.5~2ユーロジン エスタゾラム 24 1~4ベンザリン・ネルボン ニトラゼパム 28 5~10

長時間作用型

ダルメート フルラゼパム 65 10~30ソメリン ハロキサゾラム 85 5~10ドラール クアゼパム 36 15~30

(http://www2s.biglobe.ne.jp/~yakujou/memo/bz_suimin.htmlより改変)

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その他 1ベンゾジアゼピン拮抗薬フルマゼニル︓Bzに似た構造。麻酔薬との違い。

抗ヒスタミン薬(H1ブロッカー)ジフェンヒドラミン(ドリエルTM)、マレイン酸クロルフェニラミン、ヒドロキシジン(アタPTM)一般用医薬品として流通。風邪薬にも配合。中枢性副作用の眠気を利用。半減期が長く、効果弱い末梢の抗ヒスタミン作用の「副作用」など、問題多い第二世代抗ヒスタミン剤︓中枢性の副作用少ない

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その他 2メラトニン受容体アゴニスト︓ラメルテオン(ロゼレムTM)武田薬品が開発BZ系特有の副作用が少ないメラトニンは、日欧は認可なし、米ではサプリ

オレキシン受容体アンタゴニスト︓スボレキサント(ベルソムラTM )メルク社開発2014年12月発売。GABA系でなく、抗不安作用、筋力低下、認知障害ない。睡眠構築変化なし。ナルコレプシー様副作用ない。今のところ問題もないので、必ず国試に出ます︕

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その他 3抱水クロラール(エスクレTM)最も古い催眠薬。1832から使用。乳児・幼児の脳波検査など限られた用途のみに使用エタノールを塩素化4 Cl2 + C2H5OH + H2O → Cl3CCH(OH)2 + 5HClトリクロロエタノールに代謝され、作用する。トリクロホス(トリクロリール)も同様。

ブロムワレリル尿素 ブロバリン速効性、就眠薬。耐性と依存性。自殺に用いられた。

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不眠症治療薬

睡眠系を活性化・覚醒系を抑制Bz, 非Bz系の睡眠薬 →GABAA受容体アゴニスト、抗不安薬としても頻用これでダメな場合、バルビツレートや強力な向精神薬(メジャートランキライザー)cf. マイナートランキライザーアルコールも頻用(ナイトキャップ)

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過眠症治療薬コカイン、アンフェタミン︓麻薬メタンフェタミン(ヒロポン)︓処方薬だが使われない

→モノアミンの放出作用と、再取り込み阻害メチルフェニデート(リタリン、コンサータ)、ぺモリン(ベタナミン)

→モノアミン(特にドーパミン)の再取り込み阻害モダフィニール(モディオダール)

→限局された部位でのモノアミンの再取り込み阻害→活性化作用がない

カフェイン

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キサンチン類(植物アルカロイド)

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7.睡眠薬の副作用• 耐性• 依存性• 反跳性不眠• 持ち越し効果• 転倒(筋弛緩作用)• 前向性健忘• その他︓頭痛、抑うつ、薬疹• 効果不足 →副作用ではないが重要

効かない時間帯に飲んでも効かないいつでも「眠らせる」のは、麻酔薬BZ,非BZ系睡眠薬は、自然な眠気を強める薬