ver.2020/8/01 令和2年度 雲仙砂防事業の概要w=100m h=20m 着目箇所②の断面図...
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令和2年度 雲仙砂防事業の概要Ver.2020/8/01
令和元年11月撮影
■ 所 長 ■ 副所長(事) ■ 副所長(技) ■ 用 地 官
■ 総務課 (4) ■ 砂防課 (4) ■ 調査課 (3) 合計15人
▼1.雲仙復興事務所の事務所概要
組 織【R2.4月現在】
参考 【最近の予算推移】 (単位:百万円)
年 度 H25 H26 H27 H28 H29 H30 H31
予算額(当初)1,362 1,541 1,466 1,483 1,380 1,460 1,770
予算額(最終) 1,692 1,796 2,163
(単位:百万円)
事業区分水系等名
河川名 渓流名 箇所名所 在 地
工 種 事業費(当初)市・郡
火山砂防 雲仙 水無川 水無川 水無川上流堰堤群 島原市、南島原市 床固工 570
砂防管理 雲仙土石流対策工砂防設備
修繕島原市、南島原市 除石工 640
合計 1箇所 1,210
令和2年度予算
2
▼2-1.雲仙・普賢岳噴火災害
おしが谷
(旧)大野木場小学校
眉 山
普 賢 岳
火砕流による被害を受ける水無川
火砕流=高熱の火山岩塊、火山灰、軽石などが、高温のガスとともに流れ下る現象。流れる速さは、時速100㎞/hに達すると言われています。
焼失した大野木場小学校
千本木地区を襲う火砕流
◆火砕流による被害 【災害経緯】
H2.11.17 雲仙・普賢岳198年ぶりに噴火
H3.5.15 水無川に初めて土石流発生
H3.6.3 大火砕流の発生、死者40人、
行方不明者3人、負傷者9人H5.4.6 国土交通省雲仙復興事務所
(建設省雲仙復興工事事務所)開設H8.6.3 噴火活動の終息宣言
3
【被害状況】火砕流 9432回(H3.5~H8.3)土石流 79回(H3.5~R2.3)死者・行方不明者 44人
建物被害 2511棟(H8.3月までの判明分)
被害総額 2299億円(H8.3月までの判明分)出典:雲仙・普賢岳噴火災害復興10年のあゆみ(発行H13.3)】
H3.6.3 43人H5.6.23 1人
0
2
4
6
8
10
12
14
16
H3 H8 H13 H18 H23 H28
眉 山
土石流による被害を受けた水無川
土石流=谷に積もった石や土砂などが長雨によって大量に流出する現象。時速60㎞/h の速さで流れ下ると言われています。
土石流による壊滅的被害
◆土石流による被害
▼2-2.雲仙・普賢岳噴火災害
H27.8末現在
土石流発生回数
これまで78回発生 R2 . 3末現在
土石流発生回数
これまで79回発生4
▼2-3.平成噴火により誕生した溶岩ドーム
山頂部から噴煙が上がる(平成2年11月17日)
溶岩ドーム出現(平成3年5月20日)
肥大化した溶岩ドーム(平成5年7月24日)
成長する溶岩ドーム(平成3年8月24日)
不安定な溶岩ドーム (令和元年10月撮影) 今も溶岩ドーム山頂には、50mに近い巨大な岩が残っています。 5
・ 火砕流堆積物(1億7千万m3)で、地盤が最大で170m高くなりました。
・ 火砕流堆積物は雨により削られて流れ出し、今なお土石流が発生しています。
▼2-4.平成噴火による地形の変化
6
定点付近から現在の平成新山方向を望む写真(平成元年12月撮影)
・ 溶岩ドーム形成( 1億m3)で、火口が240mも高くなりました。
定点付近から平成新山を望む写真(平成28年11月撮影)
土砂の堆積イメージ
240m
転石
転石 雨による侵食
170m
平成噴火により、雲仙・普賢岳の山頂には溶岩ドームが形成され、山頂から山麓にかけて大量の火砕流堆積物が堆積。
【定点】
H3年当時、頻発する火砕流が流れ下る谷の正面で、多くの報道陣が迫力のある火砕流の映像を撮ろうとカメラを構えていた場所。H3.6.3の大火砕流で多くの犠牲者が出た。
× 通行止め箇所
直轄事業着手直後(H5)
国道57号
広域農道島原鉄道国道251号
▼3-1.雲仙復興事務所の事業概要
水無川
中尾川
湯江川
水無川
水無川
・流域面積 15.92km2
・流路延長 3,162m
・平均河床勾配 1/60
中尾川
・流域面積 9.93km2
・流路延長 3,757m
・平均河床勾配 1/70
湯江川
・流域面積13.47km2
・流路延長 4,914m
・平均河床勾配 1/270
国道251号
国道57号
広域農道
島原中央道路
国道251号
島原深江道路
島原中央道路
【事業概要】
雲仙普賢岳は、平成2年11月に約198年ぶりに噴火活動を再開し、噴火に伴う火砕流や土石流の災害により、流域が荒廃し、被害が拡大しました。
雲仙復興事務所は長崎県の要請により、直轄砂防事業として、平成5年4月開設され、「水無川」「中尾川」「湯江川」の3河川にて土石流対策を実施し、「中尾川」「湯江川」については完了しました。
中尾川
※湯江川事業は完了しました
※中尾川事業は完了しました
7
【水無川の完成した設備】
▼3-2.砂防設備の整備状況
砂防堰堤…6基床固工…25基背割堤…1基
令和元年11月撮影
砂防指定地
赤松谷川導流堤…3基下流導流堤…30基
①水無川上流域の設備配置図 ②水無川下流導流堤配置図
①
②
8
※水無川の砂防事業は令和2年度で完了予定
水無川1号砂防堰堤
※中尾川・湯江川は令和2年3月31日に事業が完了しました。
溶岩ドーム
砂防指定地
警戒区域(無人化施工区域)
国立公園区域
▼3-3.令和2年度設備整備の概要
おしが谷川1号床固工の補強を行い、令和2年度で事業を完了させます。
※警戒区域 災害対策基本法第63条に基づいて、災害による退去を命じられる区域
警戒区域
平成新山
水無川2号砂防堰堤
おしが谷床固工群おしが谷1号床固工の補強
水無川1号砂防堰堤
大野木場砂防みらい館
大規模土石流・大規模崩壊の可能性大!
令和2年3月撮影
9
▼3-4.空中写真で見る水無川の変化
平成5年9月撮影 令和元年11月撮影
平成新山普賢岳
眉山
赤松谷川
水無川
水無川導流堤
水無川
平成新山普賢岳
眉山
赤松谷川
水無川
水無川
水無川1号砂防堰堤
水無川2号砂防堰堤
水無川3号砂防堰堤赤松谷川1号砂防堰堤
赤松谷川2号砂防堰堤
大野木場砂防みらい館
平成5年頃は度重なる土石流で大きな被害が発生していた水無川でしたが、砂防設備の整備が進んでいます。設備が完成すれば、平成5年頃と同規模の土石流が発生しても、氾濫被害は生じないようになります。
10
水無川1号砂防堰堤
水無川2号砂防堰堤
水無川3号砂防堰堤
南島原市
島原市
溶岩ドーム
導流堤の補修・修繕及び流下断面の維持
赤松谷川上流域の除石
河床低下に伴う設備補修・修繕
警戒区域(立ち入りの制限)
水無川の砂防管理内容
水無川導流堤
砂防堰堤堆砂地の除石
令和2年6月からの直轄砂防管理
の範囲
▼3-5.直轄砂防管理の概要(1/2)
令和2年6月より直轄砂防管理が水無川の一部で始まりました。
【水無川での砂防管理(砂防設備管理)の必要性】①大量の火砕流堆積物からなる山腹斜面に侵食谷
(ガリー)が発達し続けており、これに伴う土石流により大量の土砂が砂防設備内に堆積
②流域内の砂防設備は未固結で不安定な火砕流堆積物上に設置。構造物設置基盤に、侵食による河床低下が発生しやすく、砂防設備が不安定になりやすい状況。
③計画規模の土石流や溶岩ドーム崩壊が発生した場合でも、土砂等が砂防設備外に氾濫しないよう、砂防設備の機能を維持する必要がある。
H27.6.11 砂防設備内を流下する土石流
洗堀を受け、飛散する根固めブロック
【主な砂防管理の内容】【主な砂防管理の内容】① 赤松谷川上流域における除石② 砂防堰堤の堆砂地における除石③ 河床低下等に伴う設備補修・修繕④ 導流堤の補修・修繕及び流下断面の維持
【砂防管理実施にあたって求められる技術的要件】
① 警戒区域内においては無人化施工による管理を行う必要。② 流域変化に応じた維持管理計画の見直しが必要。③ 溶岩ドーム崩壊等に対する管理従事者の安全対策を行う必要。
高度な技術が必要なため、国直轄による砂防管理を実施 11平成27年12月撮影
【LPデータの解析による流域の土砂移動特性把握】【LPデータの解析による流域の土砂移動特性把握】
▼3-5.直轄砂防管理の概要(2/2)
水無川の砂防管理(砂防設備管理)では、溶岩ドームを含む流域や設備の監視をしながら、無人化施工による除石などを行い、砂防設備の機能を維持していきます。
流域監視
溶岩ドーム
砂防管理区域へ 航空LP計測結果を用いた差分解析
により、侵食量や堆積量の変化、土砂収支、侵食谷(ガリー)の発達状況等を把握する。
着目箇所①の断面図
W=40mH=10m
【地上からの流域状況調査】【地上からの流域状況調査】
【溶岩ドームの監視】【溶岩ドームの監視】
砂防設備監視
無人化施工による除石
ガリーの侵食状況調査流域内の巨石計測
土石流の発生源となっているガリーの状況や、土石流等によって堆積した土砂の特性を調査し、土砂生産メカニズムや土砂の流動・堆積特性等の検討に反映。
工事の安全対策のため、溶岩ドームの監視を実施。監視は各種センサー
や監視カメラなどで構成される観測システムを駆使して実施。
監視カメラによる監視溶岩ドームの現地調査
W=100mH=20m
着目箇所②の断面図
【平成8年と令和元年のLPデータの差分解析結果】
【ガリー発達の経年変化(H08年~R01年)】
定期的に砂防設備及びその周辺の点検を実施し、砂防設備としての健全度を評価。
【地形の3次元データ化(CIMデータ化等先端技術の採用)】【地形の3次元データ化(CIMデータ化等先端技術の採用)】
【無人化施工による除石工事の実施】【無人化施工による除石工事の実施】
流域の堆積・侵食区域を正確に把握し、効率的な除石工事を行うためにCIMを導入。
※写真は地元建設業者による無人化施工による除石の試験施工の様子(令和2年1月)。
除石前 除石後 ←除石前は床固工下面が埋没して見えない
警戒区域
有人施工
無人化施工
無人施工イメージ図GPS衛星
CIMも活用して警戒区域内において無人化施工技術による除石工事を実施。
LPデータを加工、3次元化した赤松谷川流域のCIM
【H26年に実施した除石】
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無人化施工重機無人化施工操作室
水無川には、溶岩ドーム崩壊や土石流による被害が想定されることから、人の立入が制限されている区域【警戒区域】が設定されています。このため、無人情報化施工システムを用いて、安全な場所から建設機械を遠隔操作する「無人化施工」を用いて工事を実施してきました。
警戒区域有人施工
無人化施工
無人施工イメージ図
▼4.雲仙における無人化施工
GPS衛星雲仙の噴火災害から生まれた無人化施工技術を対象に島原市長が考案した愛称「UNZEN」をモチーフとして、ロゴマークを作成!無人化施工機械に、ロゴマークを貼り付けPRを行いました。
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◆現在のガリーの状況
深さ30m程度
幅30m程度
◆今なお発生する土石流
噴火活動は収まりましたが今なお土石流は発生します
ガリー(侵食谷)の発達状況
平成8年 平成19年 令和元年
▼5-1.土石流発生の危険性
平成27年6月11日11時30分頃 赤松谷川最上流カメラ映像
直径2m程度の巨石が流下
0
2
4
6
8
10
12
14
16
H3 H8 H13 H18 H23 H28
R2.3末現在
土石流発生回数
これまで79回発生
平成30年5月 撮影
14
050100150200250300350
010203040506070
12:00 18:00 0:00 6:00 12:00 18:00 0:00
6月10日からの降雨量(雲仙岳)
時間雨量
連続雨量
災害発生日 :平成27年6月11日 11時15分頃降 雨 状 況 :連続雨量 321mm
(6月10日 19時~6月12日 0時) 雲仙岳最大時間雨量 62mm(6月11日 11時~12時)
発 生 箇 所 :長崎県南島原市深江町 水無川支川赤松谷川
←長崎市
南島原市
発生箇所
土石流確認箇所
赤松谷川
水無川
・水無川上流の赤松谷川で平成24年6月以来、3年ぶりに土石流を確認しました。土石流の規模は約3.2万m3と推定され、赤松谷川上流の砂防設備で食い止め
られたため、下流の人家、国道まで流下することはなく、被害もありませんでした。(平成27年8月25日にも、同じ場所で約4.3万m3の土石流が発生しました)
6月11日11時30分頃 赤松谷川最上流カメラ映像
安中地区
赤松谷川上流
赤松谷川11号床固工
赤松谷川10号床固工赤松谷川9号床固工
砂防設備で約32,000m3の土石流を食い止めました
直径2m程度の巨石が流下
6月10日 6月11日
時間雨(mm) 連続雨量(mm)
おしが谷
▼5-2.平成27年6月11日に土石流発生
撮影 平成23年10月
15
▼5-3.平成27年8月25日に土石流発生
災害発生日 :平成27年8月25日 5時00分頃降 雨 状 況 :連続雨量 277mm
(8月24日 14時~8月25日 14時) 雲仙岳最大時間雨量 115mm(8月25日 5時~6時)
発 生 箇 所 :長崎県南島原市深江町 水無川支川赤松谷川
8月24日からの降雨量(雲仙岳)
土石流堆積域付近の平面図
土砂の堆積範囲
渓岸・渓床の侵食
侵食区間
・平成27年8月25日5時~7時にかけて水無川上流の赤松谷川で土石流を確認しました。・土石流の規模は約4.3万m3と推定され、赤松谷川上流の砂防設備で
食い止められたため、下流の人家、国道まで流下することはなく、被害もありませんでした。
今回 土石流確認箇所
赤松谷川 水無川
安中地区
おしが谷
撮影 平成23年10月
前回 確認箇所
6号床固工右岸
直径2m程度
平成27年8月28日
16
災害発生日 :平成28年6月20日 21時55分頃降 雨 状 況 :連続雨量 267.5mm
(6月19日 13時~6月21日 3時) 雲仙岳最大時間雨量 97mm(8月20日 21時~22時)
発 生 箇 所 :長崎県南島原市深江町 水無川支川赤松谷川
・平成28年6月20日21時55分頃に水無川上流の赤松谷川で土石流を確認しました。・土石流の規模は約6.5万m3と推定され、赤松谷川上流の砂
防設備で食い止められたため、下流の人家、国道まで流下することはなく、被害もありませんでした。
今回 土石流確認箇所
赤松谷川 水無川
安中地区
おしが谷
撮影 平成23年10月
前回 確認箇所
土石流堆積域付近の平面図
土砂の堆積範囲 今回
平成27年8月
平成28年6月22日
3号床固工堆砂域
直径2m程度
▼5-4.平成28年6月20日に土石流発生
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島 原市
眉 山(3,000~5,000年
前)
島原深江道路
東側から望む溶岩ドーム 東側から望む溶岩ドーム
▼5-5.平成28年11月に発生した斜面崩落
平成28年11月2日に平成新山に設置している振動センサーが反応し、平成新山北側の溶
岩ドーム斜面の一部が崩落していることが確認されました。原因は、幾層にも重なった溶岩ドーム端部の風化や緩みによるものと考えられます。
高さ20m
落石最長到達点(標高800m)発生源からの水平距離約800m
崩壊箇所(標高1100m)
落石飛散範囲
※国土交通省で観測しているGBSAR(地上型合成開口レーダー)及び光反射プリズムのデータを解析したところ、溶岩ドーム本体は顕著な変化が見られませんでした。
平成28年9月23日撮影(崩壊前) 平成28年11月5日撮影(崩壊後)
崩壊した岩塊の移動距離約800m(落差約300m)崩壊量 約6,000m3 18
平成8年に噴火活動が終息したが、今も山頂には巨大な溶岩が不安定な状態で存在
・溶岩ドームは移動しており、地震や大雨等によって崩壊する危険性がある。
幅 : 約500m
体積: 約1億m3
撮影 令和元年10月
山頂部に堆積する約1億m3(1000m×1000m×100m)の火山噴出物(福岡ペイペイドーム約53杯分)
溶岩ドーム
中尾川
島原市役所有明海
北側からみた平成新山の溶岩ドームの全景
平成9~令和2年の23年間で、東南東方向に1.33m移動を観測
水無川
▼5-6.溶岩ドーム崩壊の心配
※移動距離はR2年2月時点
19
崩壊規模の模式図(CASE 1~5) 崩壊規模のイメージ
▼5-7.溶岩ドーム崩壊パターン
現在もなお、溶岩ドームの継続的な南東方向への移動、部分的な崩落が確認されており、今後溶岩ドーム崩壊の可能性が高いことが専門家からも示唆されています。
その為、当事務所で検討を行い、崩壊ケースは、溶岩ドームの亀裂、溶岩ドームと火砕流堆積物との境界、火砕流堆積物と噴火前の地山との境界から崩壊することを想定し、5ケースを想定しました。
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想定される崩壊ケースのうち、発生の可能性が高いとされるケース1~3を既に完成してい
る砂防堰堤の嵩上げ(ハード対策)により土石流氾濫に対応する計画としました。また、ケース4~5については、素早い避難行動による人的被害を最小化するソフト対策によることとしました。
▼5-8.溶岩ドームの崩壊の影響予測
CASE5 噴火前の地山から上が同時に崩壊するケース
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▼5-9.溶岩ドームの監視・観測体制
溶岩ドームの動きを、光波測距(トータルステーション)、GBSAR(地上型合成開口レーダー)、振
動センサー、GPS、監視カメラ、雨量計などを使って観測しています。観測結果は、工事関係者の工事中止の判断材料の1つとなり、また、関係自治体への情報提供も行っています。
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■光反射プリズムによる観測結果の例(観測地点P8:ドーム下部)平成9年から令和2年2月末までの観測で、溶岩ドームは約1.33m
(年平均約5.8cm)移動している。
TS
●光波測量自動観測小屋
■地上型合成開口レーダーによる観測結果(観測地点A4-3:ドーム下部)
平成23 年10 月から令和2年2月末までの観測で、溶岩ドームは約22.2cm(年平均2.65cm)移動している
約2.5km
約3.5km
観測機器配置図
●GB-SAR(地上型合成開口レーダー)
●コーナーリフレクタ
【凡例】光波測距ターゲット(プリズム)コーナーリフレクタ(プリズム併設)コーナーリフレクタトータルステーション
GBSAR大野木場砂防みらい館
●光波反射プリズム
およそ23年間で
1.33m移動
※現在は局舎内に設置
↑プリズム部
←光波測量機本体
▼5-10.溶岩ドームの監視・観測体制
少
多
移動量
A4-3
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▼5-11溶岩ドームの監視基準について
第10回雲仙・普賢岳溶岩ドーム崩壊ソフト対策検討委員会(令和2年2月)において、溶岩ドーム挙動の監視基準の見直しはありませんでした。
◆後も最適な監視体制への見直しのため、適宜、観測機器や基準値の再検討を行う予定です。◆火山活動や地震活動等の発生など、溶岩ドームの状況に大きな変化が生じた場合には、必要に応じて基準値の変更を検討します。
観測機器等 取得間隔 即時対応基準値 短期対応基準値 長期対応基準値
震度計 リアルタイム 垂木台地・岩床山のいずれかで下記を超過した場合。①震度3(砂防工事従事者退避)②震度4(市への危険情報(仮称)提供)
- -
振動センサー リアルタイム 稲生山・垂木台地・岩床山・薊谷のうち2箇所以上で下記を超過した場合。①振動エネルギー指標値5以上②40mkine以上の振動が30秒以上継続
- -
光波測距 即時は1回/1h短期・長期は
1回/1日
毎時観測データを用いて、「両方の監視局からの斜距離変化が-20mm/hを超過」が、2つ以上のプリズムについて成立した場合。
日平均データを用いて、100日間の回帰直線からの乖離が-4cmを超
過、又は、2回(2日)連続して-2cmを超過した場合。
日平均データを用いて、100日間の回帰直線の傾きが下記の値を超過した場合。
●P9: -0.45mm/日●それ以外: -0.3mm/日
※天狗山-P5の組合せを除く。
※対象とするプリズムは、P1およびP3~P9の8つとする。 (P2を除外。)
GBSAR 即時は1回/7分短期・長期は
1回/2日
いずれか1つのブロックにおいて、1時間平均した変位速度が、2回以上連続して-4mm/hを超過した場合。
いずれか1つのブロックにおいて、2日間の変位が-4.5mm/2日を超過した場合。
いずれか1つのブロックにおいて、1年間の変位速度が-5cm/年を超過した場合。
※対象とするブロックは、Dome1, A4-3, M1, M2-4, M2-1to3の5つとする。
傾斜計 1回/1日 -
(緊急時には計測時間間隔を短くして監視に活用する。)
No.2~No.5のいずれか1つで、XYZいずれかの1日間の傾斜変化が±1.0°/日を超過した場合。
No.2~No.5のいずれか1つで、XYZいずれかの1年間の傾斜変化が±3.5°/年を超過した場合。
ワイヤーセンサー リアルタイム 切断した場合。 - -
雨量計 1回/1時間 (連続雨量が200mmを超過したら各観測機器の基準超過状況をチェック)
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▼5-12. 溶岩ドームの挙動について
※第10回雲仙・普賢岳溶岩ドーム崩壊ソフト対策検討委員会資料より(令和2年度2月現在)
①航空レーザ計測、光波測距、GBSARより:沈降しながら継続的に東~東南東に変位 → 昨年度同様
溶岩ドーム破砕部
平成噴火前の地山
●センサーネット傾斜計より:東西方向の年周期的な動きが継続。
これまでと同じく、例年と比べて変化は見られない。従来どおり、全体として沈降しつつ東南東方向へ変位している。
200m
程度
②振動センサーより:今年度は落石・小崩落と思われる波形は観測されていない。P9
●LPデータによる地表面変状解析より:遷急線付近(P9周辺)を境に、斜面上部と下部で変位の 向きや大きさが異なる傾向。
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島原市湯江小学校出前講座
(令和元年5月)
長崎大学教育学部出前講座(令和元年11月)
島原防災塾(令和元年12月)(水無川定点にて)
令和元年度雲仙岳大規模土砂災害合同防災訓練(令和元年11月)(関係機関のほか、島原市安中地区、南島原市深江地区の住民の皆様にも参加いただく)
▼6-1. 地域防災力向上の支援
平成31年度・令和元年度は、島原防災塾の開催(19人参加)、小中学校への出前講座(全部で15校へ出前講座を行いました)、住民と行政機関が一緒に実施した防災訓練、島原市が開催した防災訓練への参加など様々な地域防災力向上の支援を行いました。
私も、
幼少期に避難生活を経
験しました。
未来の教師に防災教育の大切さを伝える
土石流が
止まった!
砂防堰堤の模型
昔、火砕流がここまで来て、
多くの方が犠牲に...
島原市防災訓練に参加(令和元年11月)(Ku-satにて避難箇所を中継)
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島原振興局管内の災害復旧担当者向け講習会(令和元年6月)
令和元年度 キャンプ砂防(令和元年8月実施)(全国から大学生が砂防事業を学びに) 島原工業高校1年生を対象に現場体験会(令和2年2月)
▼6-2. その他の取り組み
島原半島内の地方自治体災害復旧担当者向けの講習会を開催したり、全国から大学生が砂防事業を学びに来る「キャンプ砂防」を開催しました。また、島原工業高校1年生を対象に、土木のことを広く体験してもらうことを目的に現場体験会を実施するなど、多くのことに取り組みました。
災害査定の心得は....
Gracias!!
この重機は
マシンガイダンス式です。
ミキサー車からのコンクリート取り出し 重機の操作体験
大型重機、平成新山をバックに記念写真最新のVR技術による工事事故疑似体験
それでは、
生コンクリートを出します!
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▼7.島原半島ジオパークとの連携
島原半島ジオパークは、雲仙火山による火山地形や、千々石断層などのダイナミックな断層地形をはじめとした地質的多様性を持つ点と、加えて平成噴火から198年前の1792年噴火災害[島原大変肥後迷惑]の2つの大きな火山災害を経験した地域でもあり、現在地域には15 万人が火山とともに暮らしています。また、雲仙普賢岳は平成噴火(1990-1995)の際、溶岩ドームの生成過程など噴火の一部始終が科学的に詳細に観察された初めての火山であ
ることでも知られています。このように2つの大きな噴火災害からの復興と、人々の生活の中に火山の恵みである温泉や湧水を取り入れた「火山と人間との共生する」ジオパークです。[日本ジオパークネットワークHPより引用]
ジオサイトへの解説板の設置
島原半島ジオ協議会との合同勉強会の開催 小学校の出前講座でのジオサイトの説明
「柿の木坂」や「定点」、「千本木の大露頭」など、6箇所に解説板を設置し、ジオガイドの説明などに活用されています。
「定点」に設置した解説板
協議会との情報共有のため最新情報を交換
平成21年世界ジオパーク登録
砂防事業を通して「火山と人間との共生する」島原半島ジオパークを応援しています。
「千本木の大露頭」に設置した解説板
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▼8.「郷土を思う・愛する心」を応援
普賢岳噴火災害によって被害を受けた島原半島の美しい森を蘇らせるため、「雲仙地域に自生する樹木の種子を採取して、苗木に育て、もとの美しい森に再生する」活動が卒業を迎える高校生の手で行われています。雲仙復興事務所でも植樹場所の提供など、「郷土を思い、愛する心」をはぐくむこの活動を応援しています。
第22回卒業記念植樹の様子(令和2年2月)
平成8年に噴火活動が終息を迎えて以降、かつての森を再生する機運が高まり、地元住民主導による「雲仙百年の森づくりの会」による植樹活動が始まりました。
平成11年から令和2年2月の第22回卒業記念植樹までに約3.2万本が植樹され、高さ10mになるまで育った木もあり、周辺は豊かな森に変わりつつあります。 雲仙百年の森づくりの会
宮本会長
木の成長は皆さんの成長と一緒です。愛情を込めた木は皆さんを見守ってくれます。
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UNZEN RESTORATION PROJECT OFFICE
平成新山より眼下に有明海を望む(令和元年10月撮影)※手前に見える巨岩群は、溶岩ドーム(第11ローブ)頂部
サー坊
【問い合わせ先】〒855-0866 長崎県島原市南下川尻町7-4
TEL 0957-64-4171 FAX 0957-64-4127技術副所長 穴井調査課長 宮脇
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