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道路橋示方書の改訂概要
平成24年 四国合同技術講習会
日本橋梁建設協会
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改訂経緯
前回改訂から10年経過
平成23年 東北地方太平洋沖地震の発生
東海・東南海・南海地震などの巨大地震による被害想定の見直し、近年の地震被害の分析による知見
維持管理の重要性の高まり
前回改訂以降進められてきた研究の成果
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Ⅰ共通編■主な改訂項目
① 維持管理に関する事項
② 東日本大震災を受けての対応
③ その他
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
1章 総則
1.3 設計の基本理念(示方書P5)
橋の設計にあたっては、使用目的との整合性、構造物の安全性、耐久性、施工品質の確保、維持管理の確実性及び容易さ、環境との調和、経済性を考慮しなければならない。
維持管理が困難な部位を少なくするなど、維持管理の確実性についても配慮すべきことが明確にされた。
あらかじめ決めた点検を行う部位については配慮されているが、それ以外は配慮されていない可能性があった。
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
1.6 設計
1.6.2 構造設計上の配慮事項(新規,P10)
一部の部材の損傷が原因となって、橋全体が致命的な状態となる可能性
必要な維持管理設備の設置(検査路など)更新が想定される部材への配慮(伸縮装置、支承など)
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
一部の部材の損傷が原因となって、橋全体が致命的な状態
「リダンダンシー、
代替性、補完性。」
どのように判断するか、手法は確立されていない。
日経コンストラクションより
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
1.7 設計図等に記載すべき事項(P13)
(5) 主な設計条件等1) 橋の種別2) 設計概要3) 荷重の条件4) 地形・地質・地盤条件5) 材料の条件6) 製作・施工の条件7) 維持管理の条件8) その他必要な事項
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
5章 付属物等
5.2 排水 (3)(新規,P105)(3)排水施設は、橋の供用期間に確実に機能が維持されるよう、維持管理の方法などの計画との整合し、かつ、必要な耐久性を有する構造としなければならない。
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Ⅰ共通編①維持管理に関する事項
6章 記録
6.3 設計・施工に関する事項(新規,P111)橋の完成後には、少なくとも設計や施工に関
する次に定める事項について、記録を作成し、供用期間中の維持管理に用いることが可能となるように、保存しなければならない。
調査、計画、設計手法、構造設計上の配慮事項、設計図、施工に関する記録。
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Ⅰ共通編②東日本大震災を受けての対応
1章 総則
1.5 架橋位置と形式の選定(P7)橋の計画にあたっては、・・・・・・、加えて地域
の防災計画や関連する道路網の計画とも整合するように、架橋位置や構造形式の選定を行わなければならない。
現在、津波による橋への影響を正確に評価することは困難
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Ⅰ共通編②東日本大震災を受けての対応
路線計画において線形を重視しすぎた結果、設計、施工及び維持管理の観点から、好ましくない計画もあった。 (P7)
① 斜角の著しく小さい斜橋
② 幅員や曲線変化の著しい橋
③ 極めて不安定な地盤等に支持させる橋
④ 災害時や不測の損傷に対して供用性の確保に困難が予想される橋など
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Ⅰ共通編②東日本大震災を受けての対応
架橋位置や橋の形式の選定にあたって配慮が行われる主な例には、次のようなものがある。(P8)
① 走行上の快適性等に配慮した連続形式の選定
② 断層の存在や地滑りなどの地盤変動、津波による浸水など架橋位置と橋の機能など固有の条件を考慮した橋梁形式や位置の選定
③ 跨道橋や跨線橋で、定期点検や異常時の点検、補修・復旧工事などに対し、維持管理上の制約を考慮した構造形式や維持管理設備の計画
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Ⅰ共通編③その他
3章 使用材料
3.1 鋼材
従来より降伏点の高い鉄筋(P80)(SD390,SD490)の導入(構造細目や耐震性
能の照査において、これらの使用を前提としていない場合があるため、注意が必要。)
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Ⅱ鋼橋編■主な改訂項目
① 圧縮部材、アンカーボルトの許容応力度等
の見直し
② 耐久性に関する事項の追記。新たに「疲労
設計」の章を追加
③ 高力ボルト摩擦接合のすべり係数と許容力
等の見直し
④ その他
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Ⅱ鋼橋編①許容応力度等に関する事項
3章 許容応力度
3.2.3 溶接部及び接合用鋼材の許容応力度
従来のアンカーボルトの許容せん断応力度(構造用鋼材の70%程度)が、構造用鋼材と同じ許容応力度となった。(P150)
従来 60 80 80
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Ⅱ鋼橋編①許容応力度等に関する事項
3.2.4 鋼管及び棒鋼の許容応力度
使用実績を踏まえて、鉄筋の許容応力度の規定からSR235及びSD295が削除された。(床版は9.2.7) (P157, P276)
Ⅰ共通編の使用材料としては残してある。
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Ⅱ鋼橋編①許容応力度等に関する事項
3.2 圧縮力を受ける部材の耐荷力(P133) 設計簡略化のため、これまで異なる断面形状の
耐荷力曲線の下限値相当から設定されていたが、溶接箱形断面についてより合理的に設定された。
ラーメンや
アーチ部材等
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Ⅱ鋼橋編①許容応力度等に関する事項
4.3 軸方向力と曲げを受ける部材(P177) 軸方向力が圧縮の場合の照査式において、
付加曲げの影響に対する安全率が見直された。
有限変位理論によって断面力を算出する場合αy = 1; αz = 1
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Ⅱ鋼橋編②耐久性に関する事項
5章 耐久性の検討
5.2 防せい防食
耐候性鋼材の適用にあたっての留意事項が解説に示された。
鋼材表面のさびの状況について、定期点検のほかに、供用後の初回点検時に確認することなどが追記された。 (P191)
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Ⅱ鋼橋編②耐久性に関する事項
5.2 防せい防食(P191) コンクリート埋込部の鋼部材について追記された。
コンクリートと鋼材の境界から水が浸入し、鋼材が腐食するおそれがあり、かつ内部の点検も困難。
RC床版を貫通しているトラスの斜材が、腐食で破断した事例あり。(対象の形式:トラス橋、アーチ橋、鋼製橋脚基部、鋼コンクリート複合構造など)
鋼部材とコンクリートが接触する場合は、止水するなど、防せい防食に配慮が必要。(16.13に鋼製橋脚基部について規定)
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Ⅱ鋼橋編②耐久性に関する事項
6章 疲労設計(P193~213) 「疲労設計」として新たに章を追加。
疲労損傷の現状と、これまでの疲労設計の妥当性から、疲労設計を明確に位置付けた。
これまで「鋼道路橋の疲労設計指針」が適用されてきた。(大きくは変わらない)「第18章施工」に、疲労強度等級の前提となる溶接部の品質が規定された。
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Ⅱ鋼橋編②耐久性に関する事項
第18章 施工
18.4 溶接(18.4.5~18.4.7)6章で規定する強度等級の前提となる溶接部
の仕上げについて規定を追加。 (P471) 所定の強度等級の前提となるアンダーカットの許容値(表)が解説に示された。 (P475)非破壊検査を行う者の資格が規定された。
(P473,P478)
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Ⅱ鋼橋編②耐久性に関する事項
9章 床版
9.4 鋼床版
閉断面縦リブ(Uリブ)を有する鋼床版デッキプレートの 小板厚が、従来の12mmから16mmに見直された。(9.4.5(2)) (P295)
板厚16mm以上の場合でも、構造詳細は「鋼道路橋の疲労設計指針」に基づき、縦リブ間隔は板厚12mmと仮定して式(9.4.3)から算出した値とする。
Uリブとデッキプレートの溶接部で疲労損傷の事例が報告されていた。
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Ⅱ鋼橋編③高力ボルト摩擦接合に関する事項
3章 許容応力度(P150) 3.2.3 溶接部及び接合用鋼材の許容応力度
高力ボルト摩擦接合継手の接合面に無機ジンクリッチペイントを塗装する場合のすべり係数を、従来の0.4から0.45とし、許容力が見直された。
従来(塗装しない場合)は48 kN
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Ⅱ鋼橋編③高力ボルト摩擦接合に関する事項
7章 連結
7.3 高力ボルト継手
ボルト列数が8列を越える場合の許容力に乗じる低減係数が解説に示された。 (P230)
フィラープレート厚さの上限値(母材板厚の1/2程度)に「25mm程度」が解説に追加された。(P253)
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Ⅱ鋼橋編③高力ボルト摩擦接合に関する事項
18章 施工
18.5 高力ボルト
高力ボルト摩擦接合継手の接合面のすべり係数と塗装仕様を見直した。 (P487)
従来30μm以上
従来90~200μm
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Ⅱ鋼橋編④その他
18章 施工
18.7 架設
架設時の安全性の確保にあたっての配慮事項を解説に示された。 (P498)
①施工順序による構造系の経時的変化、②架設設備等の施工条件と設計計算モデルとの相違、③荷重支持点など応力集中部の座屈や変形、などに注意し適切に照査を行う。④必要に応じて橋体や架設設備の傾斜,変位など,安全性の確保に必要な管理値を設定し管理する。
製作と架設が別発注の時には特に注意が必要。
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Ⅲコンクリート橋編■主な改訂項目(鋼橋関連事項)
3章 許容応力度
使用材料の拡大及び適正化
・ 丸鋼の許容付着応力度、定着を削除(P128) ・ SR235、SD295の許容応力度を削除(P131)・ SD390、SD490の許容応力度、曲げ内半径等
の追加(P131、P195)
使用実績よりSD235、SD295を削除
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Ⅲコンクリート橋編■主な改訂項目(鋼橋関連事項)
5章 耐久性の検討
5.2 塩害に対する検討(Ⅱ鋼橋編9.2.6(2)、9.3.6関連)
区分の市町村合併等による修正(地域区分の実質的な変更なし) (P176)
ステンレス鉄筋等に対する 小かぶりについて追記(5.2(2)解説) (P179)
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Ⅲコンクリート橋編■主な改訂項目(鋼橋関連事項)
20章 施工 20.4.2 コンクリート
(2) 2) スランプは施工が確実に行える範囲内でできるだけ小さく定める。(P328~330)
(Ⅱ鋼橋編18.8.2関連)「スランプの標準は80mm」が条文から解説へ移動。
施工条件に応じ設定できるように、記述が変更された。
高性能AE減水剤によりスランプを大きく設定可能。
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Ⅳ下部構造編■主な改訂項目(鋼橋関連事項)
大地震時の被害への対応、維持管理への配慮
① 不具合事例等を踏まえた調査に関する充実
② SD390、SD490の追加
③ 橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
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Ⅳ下部構造編①不具合事例等を踏まえた調査に関する充実
2章 調査 2.2.3 本調査
(2) 本調査は、それぞれの橋脚及び橋台の位置において行うことを原則とする。 (P129)
調査不足により、地盤状況が想定と異なり、施工時の工費・工期に大きく影響する事例があった。
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Ⅳ下部構造編②SD390、SD490の追加
4章 許容応力度
4.3 構造用鋼材の許容応力度
使用実績よりSR235、SD295を削除
SD390、SD490を追加、ただし使用部位によっては検証が不十分であるため、SD345と同じ許容応力度としている場合がある。
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
5章 部材の照査
5.2 レベル2地震時における部材の照査
5.2.2 (1) 塑性化を考慮しない部材においては、原則として、鉄筋コンクリート部材に生じる曲げモーメントが、降伏曲げモーメント以下であることを照査する。
上部構造からの作用力が、支承や落橋防止システムを介して橋脚などを損傷し、共用性に影響した事例があった。(8.3にも関連)
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)8章 橋脚、橋台、フーチング及び橋台背面アプローチ部の設計
8.2.1 橋脚及び橋台の設置位置、形式及び形状
東日本大震災を踏まえ、規定・解説を充実
橋台背面土の流出
→ 橋台は堤防を避けて設置がよい。避けられない場合は、橋台背面土が流出しないよう処置が必要。
斜面崩壊による下部構造の沈下・傾斜
→ 斜面の状態を把握し位置を定め、長期の安定が必要。経済的な観点のみによる位置決定は不適切。
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
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A2 P2 P1 A1
斜面崩壊
Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
8.6 橋座部の設計
橋座部は、支承のほか、落橋防止構造等による作用についても照査を行うことを規定・解説。
橋座部は滞水等による支承や桁端部の腐食が多い。また、地震時に損傷し、緊急点検時に橋座部へのアクセスが課題となる。これらを考慮し、点検・補修等が確実に行える空間の確保、柵の設置、支承交換時の仮受け等への配慮などについて解説に示された。
支承縁端距離Sについて、既往の損傷事例を踏まえて設定時の留意点が解説に示された。
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
8.8 橋台部ジョイントレス構造(新規追加)上下部構造が剛結された「橋台部ジョイントレ
ス構造」について規定
短い支間の単純橋などで、支承と伸縮装置が不要となり維持管理が軽減でき、地震時の落橋リスクが軽減できる。
適用には、構造的特徴から地盤条件や構造条件に応じた留意が必要。
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
8.9 橋台背面アプローチ(新規追加)路面の連続性確保のため、橋台背面アプローチ部を
新たに定義し、配慮事項を規定・解説
橋本体の損傷が軽微でも橋台背面に著しい段差が生じ、通行できない事例が多くみられた。
踏掛版の設置等の対策を講じるのが望ましい。踏掛版の設計は、巻末の参考資料5を参照
地震後の避難路や緊急輸送路となる橋は、基礎地盤や橋台背面アプローチ部が沈下した場合でも、一体化を保つことが望ましい。
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Ⅳ下部構造編③橋脚・橋台の規定充実(被災事例対応ほか)
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V耐震設計編■主な改訂項目(鋼橋関連事項)
① 耐震設計で考慮していない事象に対する考え方
② 橋の計画時の検討事項等の充実
③ 設計地震動の見直し・耐震性能の照査方法
④ 鋼製橋脚の許容値やアンカー照査の見直し
⑤ 上部構造関連の規定の見直し
⑥ 支承部周辺の構造の合理化
⑦ 落橋防止システムの見直し
⑧ その他
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V耐震設計編①耐震設計で考慮していない事象に対する考え方
2.1 耐震設計の基本方針(P6)(1) (修正なし)→解説を追加
(2) 耐震設計にあたっては、地形・地質・地盤条件、立地条件、津波に関する地域の防災計画などを考慮した上で構造を計画するともに、橋を構成する各部材及び橋全体系が必要な耐震性を有するように配慮しなければならない。
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V耐震設計編①耐震設計で考慮していない事象に対する考え方(P6~7)
地域防災計画において早期に機能回復が求められる橋は、路線計画時に、耐震設計で未考慮だが想定されうるリスクを検討し計画することや、道路ネットワークの多重化による補完性の確保等を、地域の防災計画と一体となって検討することが重要。
想定されうるリスクへの対応についての考え方(早期復旧可能な構造形式の採用、復旧の計画や資材等の整備について事前検討)
ソフト及びハードの両面から総合的に検討することが重要。
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V耐震設計編②橋の計画時の検討事項等の充実(P7~8)
3)津波に対し、防災計画を踏まえた道路計画とする。
津波に対する考え方の例
・ 津波の高さに対して桁下空間を確保
・ 津波の影響を受けにくいような構造的工夫
・ 上部構造が流出しても復旧しやすい構造的配慮
6)慣性力を複数の下部構造に分担させる地震時水平力分散構造やラーメン構造の採用を検討。
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V耐震設計編②橋の計画時の検討事項等の充実(P7~8)
7)耐震性に特別な配慮を要する構造形式は避ける。
1) 過度に斜角の小さい斜橋
2) 過度に曲率半径が小さい曲線橋
3) 死荷重により大きな偏心モーメントを受ける橋脚構造
10)支承部や制震装置等の取付部周辺に損傷が生じても、落橋防止に対して機能的な悪影響のないよう留意する。
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V耐震設計編②橋の計画時の検討事項等の充実(P7~8)
11)早期の機能回復が求められる橋で、損傷の発見及び修復が困難な箇所には、損傷を生じさせない構造とするなど、配慮が必要である。
13)落橋防止システム等が支承部や桁端部等の維持管理のための作業空間の確保等に影響を及ぼすことがないように配慮が必要である。
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V耐震設計編③設計地震動の見直し
4.1 一般
2.2(1)に規定するレベル1地震動及びレベル2地震動は、それぞれ、4.2及び4.3の規定により設定しなければならない。(P16)(以下は削除された)
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V耐震設計編③設計地震動の見直し
4.3 レベル2地震動
レベル2地震動(タイプⅠ)を見直した。(P20~22)
加速度応答スペクトル 大値
1000(III種)850 (II種)700 (I種)
1200(III種)1300 (II種)1400 (I種)
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V耐震設計編③設計地震動の見直し
4.4 地域別補正係数(P23)レベル2地震動(タイプⅠ) →新たに設定。
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V耐震設計編③耐震性能の照査方法
5.5 耐震性能の照査方法(P46)
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V耐震設計編④鋼製橋脚の許容値やアンカーの照査方法の見直し
11章 鋼製橋脚の応答値及び許容値
鋼製橋脚の非線形履歴モデル、降伏変位及び水平耐力を条文として規定(11.3)。降伏後の二次剛性の比r、残留変位補正係数CRを見直した。
鋼材及び鋼製橋脚に充填されるコンクリートの応力度ーひずみ曲線並びに鋼材の許容ひずみを条文として規定(11.4)。許容ひずみの算出式やその適用範囲を見直した。
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V耐震設計編④鋼製橋脚の許容値やアンカーの照査方法の見直し
11.6 アンカー部の照査
鋼製橋脚の応答が弾性域の場合の照査方法も規定。
杭方式を削除。RC方式では複鉄筋として設計可能となった。
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V耐震設計編⑤上部構造関連の規定の見直し
14章 地震の影響を受ける上部構造の応答値及び許容値並びに上部構造端部構造
耐震性能2・3に対し鋼上部構造の許容応力度の割増係数が1.7と規定。(14.1、14.2.1)
上部構造の支承部、落橋防止等の取付部は、鋼上部構造では割増係数1.7を考慮した許容応力度を用いて設計する。(14.2.2)
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V耐震設計編⑤上部構造関連の規定の見直し
14.4.1 上部構造端部の遊間
衝突を考慮した耐震性能の具体的な照査方法について、技術的な知見が十分でないことから削除された。
橋脚頂部に段違いがある構造で、上部構造が段違いに衝突する場合について解説に追記された。
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V耐震設計編⑤上部構造関連の規定の見直し
14.4.2 伸縮装置
維持管理のための支承周辺の合理化、ジョイントプロテクターの損傷による第三者被害への配慮より、ジョイントプロテクターの規定を削除。
レベル1地震動に対し、伸縮量を確保するか、必要な耐力を確保するよう規定された。
伸縮装置が水平力を伝達する場合、隣接する上部構造への影響も適切に考慮する。
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V耐震設計編⑥支承部周辺の構造の合理化
15章 支承部の照査
維持管理のための支承周辺の合理化、タイプA支承(レベル1地震動対応)の損傷による第三者被害への配慮より、タイプA支承の規定を削除。(従来のタイプB支承のみを規定)(15.1)
ゴム支承の許容ひずみの目安が削除され、支承の特性に応じて設定可能となった。(15.2)
支承は取り替え可能な構造とすることが規定された。(15.6)
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
16章 落橋防止システム 16.1一般
これまでの分析等を踏まえ、橋の構造特性に応じて落橋防止システムの規定が見直された。
橋軸直角方向の落橋防止対策として設置される従来の変位制限構造の呼称を横変位拘束構造に変更した。
落橋防止構造と橋軸直角方向の横変位拘束構造は、各々の機能が確保されていれば兼用可能となった。
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
従来、橋軸直角方向に橋脚が移動する可能性のある橋には、端支点・中間支点に変位制限構造が必要と規定されていたが、削除された。
実際には橋軸直角方向へは落橋しにくく、条件によって上部構造と下部構造を結合しない方が落橋防止の観点では有利となることも考えられる。
橋軸直角方向に橋脚が移動する可能性のある橋では、条件に応じて、落橋防止対策を検討する。
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
橋軸方向の落橋防止構造を省略できる範囲が拡大
橋軸方向に変位しにくい橋、端支点が破壊しても落橋しない橋
① 両端が橋台に支持された橋
② 橋軸方向に4基以上の弾性・固定支持された橋
③ 2基以上の下部構造が剛結されたラーメン橋
④ 活荷重以外の支点反力が生じない又は負反力が生じる端支点
レベル2地震動対応の支承、桁かかり長確保が前提。
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V耐震設計編⑥落橋防止システムの見直し
橋軸方向の落橋防止構造を省略できる橋の例
落橋防止システムの選定の基本的な考え方
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
16.2 桁かかり長
16.1の(4)の1)の条件に該当する橋(幾何学的条件から回転する可能性がある橋)である斜橋と曲線橋の算出式が見直された。
桁かかり長を算出する際の下部構造間の距離Lが見直された。
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
下部構造間の距離Lの取り方
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
16.3 落橋防止構造
下部構造の耐力が、落橋防止構造の耐力よりも大きくなるように、落橋防止構造の設計地震力の算出式が見直された。
下部構造の耐力が0.8Rdに相当する耐力よりも小さい場合、規定の桁かかり長の1.5倍を確保する。
落橋防止構造の耐力は、鋼部材に対して割増係数1.7とした許容応力度、コンクリート部材は、その耐力を用いてよいことが規定された。
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V耐震設計編⑦落橋防止システムの見直し
16.4 横変位拘束構造(従来の変位制限構造)
落橋防止構造と同様に、横変位拘束構造の設計地震力の算出式を見直しし、横変位拘束構造の取付部及びそれが取り付く上下部構造の設計法が規定された。
16.5 構造細目(新規追加)
取付部は、応力集中が生じにくい構造とすることが規定された。
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V耐震設計編⑧その他
参考資料
従来あった、巻末の参考資料は内容を更新・充実化し、新たに耐震設計便覧(仮称、別途作成中)として、今後発刊予定。
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