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    Interview: Hidenori MatsuokaTranslation: Sota Saito

    彼の作品を初めて見たとき、また新しい違った角度からの、ストリートという風景の捉え方があるものだと感心した。それらはとてもユーモア溢れるものなのだが、時としてどこかシニカルな表現を含んでいるようにも感じられ、セメントで作られた小さな人間とその街の大きさの対比は、感覚として社会に対する無力さとも取れ、はたまた単純に、歴史の移り変わりの良いところと悪いところをただ記録するジャッジメントのような強さとも受け取れた。アイザック・コーダル。この謎の男を探るべく質問を投げかけた。

    ISAAC CORDAL ̶̶あなたのアーティストとして活動するきっかけなどのバックグランドを教えてください。Isaac Cordal(以下、I) 母親が陶芸家だった関係で、小さい時から作業場で遊んだりすることが多かったんだ。だから自然と陶芸や彫刻に触れる機会があって、そこからどんどん興味が湧いていった。石刻の学校に5年間通って、そこで学んだ技術や考え方に深く影響を受けたよ。彫刻を精巧に造り上げる技術ももちろんだけど、人間を芸術的に再現するもっとも古い表現なんだという部分にも深い影響を得ることができた。

    ̶̶ロンドンに拠点を構えてるんですか?I いや、普段はブリュッセルに住んでるんだ。ロンドンのライフスタイルはとても早いペースで進むし、お金がかかるからね。エキシビジョンのために昨日ロンドンに着いたばかりなんだ。今日の午後はショーに向けての準備をする予定だよ。

    ̶ 『̶CEMENT ECLIPSES』というタイトルのプロジェクトをやっているみたいだけど、始めたのは?I まずストリートを使った表現がしたかったんだ。2001年からコンクリートを使った彫刻を作っているんだけど、そういった作品は大きくて移動が大変なんだ。重機が必要になるし、な

    によりその手配が面倒だったんだ。そんな経験を通して、楽に持ち運びができる作品で何かしたいという気持ちが生まれた。しかも作品が小さければ移動は楽だし、場所を選ばずにエキシビジョンを行えるからね。

    ̶̶コンセプトは?I 何をしようとも歴史は絶対に変えられないという意識を植え付けられてしまった一般大衆に対する社会的な批評なんだ。僕はどんな小さな事でも行動を起こすことによって、何かを変える力があると信じている。今、世界中を取り巻くネガティブな空気を、小さくても何かをしてやろうという気持ちがたくさん集まればもっと世の中は明るくなると思うんだ。

    ̶̶塵も積もれば山になるというような感覚ですよね?I そうなんだ。その一方でCEMENT ECLIPSESには少しポエティックな設定があるんだ。どれだけ時間が過ぎようとも、これから小さな石像達は時代に取り残された考古学的な遺産として生存し続ける。人類が自分を取り巻く環境をどれだけ造り変えてきたかっていう事を示すリマインダーみたいなものだね。石像達は歴史を見てきた証人として、僕たち自身の行動の不条理さに訴えるという狙いなんだ。

    REQUIEM FOR A PIECE OF CEMENT. LONDON.  2009

    REALITY SHOW. LONDON.  2009

    CLIMATE CHANGE EXPEDITION. LONDON.  2009

    FOREST ROAD E83BJ. LONDON.  2009HOME. LONDON.  2009

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    ̶̶あなた自身はストリートや建物という公共物をどのような視点で捉えているんですか?I ストリートや公共の場は縛られることのない自由な風景の宝庫だと思っている。そこに僕たち自身がストリートを飾るデコレーションの一部として参加できるんだ。ギャラリーでは完全に表現することができない事をストリートが可能にしてくれるんだよ。ストリートは生活の一部で、アートギャラリーみたいに気を張らずに庶民が気軽に見物することができるし、アーバンアートこそストリートを豊かにする表現だと僕は思っているんだ。

    ̶̶どういった事からインスピレーションが湧きますか?I 客観的に世の中を観察すること。大不況、温暖化、難民問題だとか社会的な問題に強く影響されている。そして自分のやっている事を心から愛している人たちからはいつもいい刺激を受けているね。なにをするにしても情熱が一番大切だと思うよ。

    ̶̶影響を受けたアーティストなどはいますか?I 僕がアートを続ける理由っていうのは、すごくシンプルなんだ。昔からやってることだし、今もその興味を失っていない。だから様々なアーティストが好きだし、毎週新しいアーティストに出会ったり、昔の作品の良さを再認識したりする。そんな中で特に影響を受けたアーティストは、Harmen de Hoop、Maurizio Cattelan、Chema Madoz、Jaume Plensa、Brad Downey、Oscar Ibrahimっていう面々かな。

    ̶̶注目している日本人アーティストなどはいたりしますか?I 正直、あまり日本人のアーティストは知らないんだ。でも印象に残っているのは葛飾北斎、奈良美智、エキソニモ、堀尾寛太や福田繁雄かな。

    ̶̶ロンドンのストリートシーンの現在は?I ロンドンには本当に多くのアーティストがいるからね。いろいろなアートワークを日常的に見ることもできる。特にストリートアートシーンでは自主出版のアートブック、ブログそして雑誌がムーブメントを支えている事を実感できるよ。

    ̶̶あなたの人生における大切なことを教えてください。I 本当に自分の好きなことをやることだね。ロンドンのストリートアートマガジンを読んでいる時に「Life is too short for the wrong job(自分に合ってない仕事をするには、人生は短すぎる)という広告キャンペーンも見たんだけど、まったくその通りだと思ったよ。

    ̶̶最後にあなたにとってアートとは?I アートとは実体のない現実を小さなパッケージに圧縮できる手段だね。

    REMEMBRANCES FROM NATURE. LONDON.  2009

    IKEA THRONE. PONTEVEDRA, GALICIA. 2010

    RED PAINT UNDER MAN. BARCELONA.  2009

    TODAY THERE’S NOTHING. LONDON.  2009

    PUBLIC SWIMMING POOL. LONDON.    2009

    BUSINESS MAN. LONDON.2010

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